不動産の共有持分とは?共有状態の不動産を持つリスクと解消方法

目次

共有持分とは

共有持分(きょうゆうもちぶん)とは、一つの不動産を複数人で所有している状態において、各所有者が持つ「所有権の割合」のことです。例えば、3,000万円の住宅を夫婦で1,500万円ずつ出し合って購入した場合、夫と妻の持分はそれぞれ「2分の1」となります。

初心者の方が押さえておくべき重要な用語と仕組みは以下の通りです。

  • 共有名義不動産:夫婦や兄弟など、2人以上の名前で登記(法的な登録)されている不動産のこと
  • 単独所有:1人の個人や法人が、不動産の権利を100%持っている状態
  • 保存行為:不動産の現状を維持するための行為(雨漏り修理や不法占拠者への対応など)です。各共有者が単独で行える
  • 処分権:自分の持ち分を売ったり、誰かにあげたりする権利。自分の持分だけであれば、他の人の許可なく自由に行える
  • 変更行為:不動産全体の売却や建て替えなど、大きな変更を加えること。これには共有者「全員」の合意が必要
  • 管理行為:賃貸契約の解除や軽微なリフォームなど。持分価格の過半数の同意で決定でる

共有持分は、相続や共同購入でよく発生しますが、不動産全体を動かす際に「全員の同意」という壁にぶつかりやすいため、事前の知識が非常に重要になります。

共有持分の悩みは複雑で、ご自身の状況に合う解決策を見つけるのは大変です。 「まずは自分の持分が売れるのか、いくらになるのか手っ取り早く知りたい」という方は、こちらの無料共有持分診断をご利用ください。専門チームが状況を整理し、提携業者の中から最適な解決策や概算の価格感をご案内します。

共有持分不動産の扱いについて2023年4月の改正民法で変わった事

共有不動産の扱いは「一部の反対や不在があっても、活用や解消を進めやすくなる」方向へ大きく変わりました。
プロの視点で、具体的に「何ができるようになったのか」を整理して解説します。

軽微な変更が過半数で可能に

これまでは、どんなに小さな工事でも「変更行為」とみなされると、共有者全員の同意が必要でした。改正後は、「形状や効用の著しい変更を伴わないもの」であれば、持分の過半数の同意だけで実施できます。

  • 砂利道をアスファルトで舗装する
  • 建物の外壁塗装や屋根の修繕

持分価格(もちぶんかかく)の過半数とは、人数ではなく、所有している権利の割合の合計が50%を超えることを指します。例えば3人共有で、1人が60%持っていれば、その1人の意思だけで決定可能です。

行為のカテゴリー具体例根拠条文同意要件
保存行為雨漏りの修理、不法占拠者への明け渡し請求民法第252条第5項単独
管理行為賃料の改定、管理者の選任・解任民法第252条第1項持分の過半数
軽微な変更砂利道のアスファルト舗装、外壁塗装民法第251条第1項持分の過半数
短期賃貸借建物3年以内、土地5年以内の賃貸借民法第252条第4項持分の過半数
変更(著しい変更)不動産全体の売却、建物の取り壊し民法第251条第1項全員の同意

短期の賃貸借が過半数で可能に

これまでは「不動産を他人に貸す」という行為が、全員同意が必要な「変更(処分)行為」なのか、過半数でいい「管理行為」なのかが曖昧でした。改正法では、以下の期間内であれば「過半数で貸せる」と明確化されました。

  • 過半数で可能な期間
    • 建物:3年以内
    • 土地:5年以内
  • 注意点:これを超える長期の契約(例:一般的な10年の定期借地など)は、依然として全員の同意が必要です。

行方不明の共有者がいても手続きが進められる

これまでは共有者の1人と連絡が取れないだけで、不動産全体の売却や活用が完全にストップしてしまいました。新設された裁判所の手続きにより、この壁を突破できます。

  • 所在等不明共有者の持分取得:
    裁判所の許可を得て、不明者の持分を他の共有者が買い取る(取得する)ことができます。
  • 所在等不明共有者の持分譲渡:
    裁判所の許可を得て、不明者の持分も含めて一括で第三者に売却できるようになりました。

供託(きょうたく)とは、不明者の権利を勝手に奪うことはできないため、持分に見合う「時価相当額」のお金をあらかじめ法務局に預ける手続きのことです。不明者が現れたら、そこから支払いが行われます。

相続開始から10年経過で法定相続分で分けられる10年ルール

相続によって共有になった不動産(遺産共有)について、いつまでも昔の事情(「自分は親の介護をしたから多くもらうべき」などの具体的相続分)を主張できなくなりました。

相続開始から10年を経過すると、原則として「具体的相続分」ではなく、一律の「法定相続分」で機械的に分けるルールが適用されます。

具体的相続分(ぐたいてきそうぞくぶん)とは、介護などの「寄与分」や、生前にもらったお小遣いなどの「特別受益」を考慮した、実際の取り分のこと。10年経つと、この複雑な計算を抜きにして分割を進めやすくなります。

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区分タイトル公的主体等URL
法律本体民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)※日本法令索引ページ内閣・国会(日本法令索引)https://hourei.ndl.go.jp/simple/detail?lawId=0000153927&current=-1 hourei.ndl
条文民法(明治二十九年法律第八十九号)※改正反映条文総務省(e-Gov法令検索)https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/ laws.e-gov
法案・経緯民法等の一部を改正する法律案法務省https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00179.html moj
改正全体概要所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)〈新制度の概要・ポイント〉法務省https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00499.html moj
部会審議資料共有制度の見直し(1)〈民法・不動産登記法部会 資料3〉法務省(民事局)https://www.moj.go.jp/content/001293295.pdf moj
研究メモ令和3年民法改正の概要と論点 ~共有 その1(共有物の使用・変更 等)法務総合研究所(ジャーナル掲載PDF)https://www.lij.jp/news/research_memo/20210901_1.pdf lij
ガイドライン関連民法改正と「共有私道ガイドライン」の改訂について国土交通省https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001441824.pdf mlit
弁護士会誌LIBRA 2023年4月号(共有関係改正の特集記事等を含む号のPDF)東京弁護士会https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2023_04/lbr_2023_04.pdf toben

不動産が共有持分である7つのリスク

共有持分(きょうゆうもちぶん)を保有し続けることに伴う主要なリスクを7つ解説します。

不動産全体の売却や処分が困難になるリスク

共有不動産の最大のリスクは、不動産全体を自由に処分できない点にあります。法律上、不動産全体の売却や建て替えは「変更行為(へんこうこうい)」に分類され、これには「全員同意の原則(ぜんいんどういのげんそく)」が適用されます。

  • 変更行為:不動産の物理的な形状を変えたり、権利を処分したりする行為のこと
  • 全員同意の原則:共有者全員が賛成しなければ、その行為を行えないというルール

たとえ99%の持分を持つ人が売却を希望しても、残り1%を持つ人が反対すれば、不動産全体を市場で売ることはできません。このため、売り時を逃したり、資産が「塩漬け」状態になったりするケースが多々あります。

相続の繰り返しによる権利の細分化

時間が経過するほど、共有関係は複雑化します。共有者の1人が亡くなると、その持分はさらにその配偶者や子供たちに引き継がれる「数次相続(すうじそうぞく)」が発生し、「権利の細分化(けんりのさいぶんか)」が進みます。

  • 数次相続:遺産分割が終わらないうちに次の相続が発生し、相続人が雪だるま式に増えることです。
  • 権利の細分化:1つの不動産に対する所有者が増え、一人ひとりの権利割合が極めて小さくなる

世代交代が進むと、面識のない遠戚や、海外居住者が共有者に加わることも珍しくありません。こうなると連絡を取ることすら困難になり、話し合いによる合意形成は事実上不可能となります。

固定資産税などの連帯納税義務

共有者には、持分割合に応じた費用負担義務がありますが、税金に関してはより厳しい「連帯納税義務(れんたいのうぜいぎむ)」が課されます。

  • 連帯納税義務:持分割合に関わらず、共有者全員が税金全額の支払い義務を負うというルールのことです。
  • 求償権(きゅうしょうけん):他の共有者の分を立て替えて支払った際、その金額を本人に請求できる権利

例えば、他の共有者が税金を滞納した場合、自治体は持分がわずかな共有者に対しても全額の納付を督促でき、支払わなければその人の持分や預貯金が差し押さえられる恐れがあります。

共有物分割請求訴訟を起こされるリスク

他の共有者との関係が悪化すると、裁判を通じて強制的に共有状態を解消させられる「共有物分割請求(きゅうゆうぶつぶんかつせいきゅう)」を受ける可能性があります。

  • 共有物分割請求:共有状態を解消して、不動産を分けようと他の共有者に求める法的な権利のことです。
  • 形式的競売(けいしきてきけいばい):裁判所が不動産を強制的に競売にかけ、売却代金を分ける手続き

話し合いで決着がつかない場合、最終的に「形式的競売」が命じられることがあります。競売では市場価格の6〜8割程度で落札されることが多く、結果として全共有者が本来得られたはずの資産価値を大きく失うことになります。

第三者(買取業者)の介入による精神的負担

共有者の1人が、他の共有者に相談なく自分の持分だけを「共有持分買取業者(きょうゆうもちぶんかいとりぎょうしゃ)」へ売却してしまうリスクがあります。法律上、自己の持分の売却は「持分処分自由の原則(もちぶんしょぶんじゆうのげんそく)」により自由だからです。

  • 共有持分買取業者:権利関係が複雑な持分のみを買い取り、利益を上げる専門の業者
  • 持分処分自由の原則:他の共有者の同意を得ずに、自分の権利だけを自由に売れるという決まりのこと

ある日突然、見知らぬ業者が共有者に加わり、「持分を安く売れ」あるいは「賃料を払え」といった強硬な交渉や訴訟を仕掛けてくることがあり、多大な精神的ストレスとなります。

使用料(不当利得)の請求トラブル

共有不動産に特定の共有者だけが住んでいる場合、住んでいない共有者から「不当利得返還請求(ふとうりとくへんかんせいきゅう)」を受けるリスクがあります。

  • 不当利得返還請求:法律上の正当な理由なく利益を得ている人に対し、その利益を返すよう求めることです。
  • 使用補償金(しようほしょうきん):不動産を独占的に使っていることに対する、家賃相当額の支払いのこと

2023年の改正民法でも、自己の持分を超える使用をしている共有者は、他の共有者にその対価を支払う義務があることが明文化されました 10。親族間でも、相続を機に関係がこじれると、過去に遡って多額の使用料を請求される事態に発展します。

管理不全による資産価値低下と罰則

共有者間の意見がまとまらず放置された不動産は、管理が不十分になりやすく、「特定空き家(とくていあきや)」に指定されるリスクを孕んでいます。

  • 特定空き家:放置すると倒壊の恐れがあるなど、周囲に悪影響を及ぼすと自治体が判断した空き家のことです。
  • 管理不全土地管理命令(かんりふぜんとちかんりめいれい):不適切な管理により他人の権利が害される恐れがある場合、裁判所が管理人を選任して強制的に管理させる制度のことです

特定空き家に指定されると固定資産税の優遇が解除されて税額が跳ね上がったり、自治体から解体の勧告を受けたりします。また、管理不全の状態が続くと、近隣住民からの損害賠償請求の対象にもなり得ます。

共有持分の放置には多くのリスクが伴います。いきなり業者へ相談するのが不安な方は、まず無料の共有持分診断をご利用ください。専門チームが状況を整理し、提携業者の中から最適な解決策や概算の価格感をご案内します。

不動産の共有状態を解消する方法10選

共有状態を解消するための10の方法をプロの視点で解説します。

専門の買取業者への持分売却

「他の共有者と一切関わりたくない」「即座に現金化して共有関係から抜け出したい」という場合に選ばれるのが、専門業者への持分売却です。民法上、自己の持分のみを売却する行為は、他の共有者の同意が一切不要です。

この方法の利点は、最短数日で共有関係を解消できるスピード感にあります。他の共有者に知られずに手続きを進めることも可能です。

しかし、業者は取得後に残った共有者と交渉(持分買取の提案や共有物分割請求など)を行うことで利益を出すため、買取価格は不動産全体の価格に持分割合を乗じた金額よりも大幅に低くなる(3割〜5割程度が一般的)傾向があります

また、売却後に残された共有者は、突然見知らぬ業者と共有関係になり、賃料の請求や訴訟を提起されるリスクを負うことになります。そのため、この方法は最終手段として検討し、依頼する際は弁護士と連携しているなど信頼性の高い業者を慎重に選定することが不可欠です。

  • 持分処分自由の原則(もちぶんしょぶんじゆうのげんそく):他の共有者の同意なく、自己の持分のみを自由に処分できる法的権利
  • 共有持分専門買取業者(きょうゆうもちぶんせんもんかいとりぎょうしゃ):権利関係が複雑な持分のみを買い取り、事後的に解決を図る不動産会社

共有者全員による不動産全体の売却

共有状態を解消する最も一般的かつ、経済的メリットが大きい方法が「不動産全体の売却」です。

共有不動産を一つの物件として市場で売却し、得られた代金を持分割合に応じて分ける手法です。不動産全体の売却は「変更行為」に該当するため、民法第251条に基づき、共有者全員の同意が必要となります。

  • 変更行為(へんこうこうい):共有物の物理的な形状を変えたり、権利そのものを処分したりする行為
  • 全員同意の原則(ぜんいんどういのげんそく):不動産全体の売却などにおいて、共有者全員の承諾を必須とするルールのこと

この方法の利点は、不動産を「持分」という不完全な形ではなく「所有権」として売却できるため、市場価格(時価)での取引が可能になり、各共有者が手にする金額が最大化される点にあります。

ただし、一人でも反対者がいると売買契約を有効に結ぶことができず、手続きが頓挫してしまいます。

親族間での感情的な対立がある場合、売却のタイミングや価格設定を巡って合意形成が難航することもありますが、資産価値を損なわないためには、第三者の専門家を交えて説得を試みることが推奨されます。

名義集約によって他の共有者への持分を売却

共有者のうちの一人が、他の共有者に自分の持分を買い取ってもらう方法です。例えば、兄弟で実家を相続したが、兄がそこに住み続けたい場合、弟が兄に対して持分を売却し、兄の単独名義に集約するケースが典型例です。

  • 名義集約(めいぎしゅうやく):複数人の名義に分かれている不動産を、一人の名義にまとめる手続き
  • 持分譲渡契約(もちぶんじょうとけいやく):不動産全体ではなく、自己の持つ権利の割合(持分)のみを移転させる契約

この方法の最大のメリットは、不動産という資産を親族などの関係者内で維持できる点にあります。また、外部の第三者が共有関係に入り込むリスクを完全に排除できるため、将来的なトラブル予防としても非常に有効です。

売買価格については、親族間であっても適正な時価(鑑定評価額など)に基づき設定することが重要です。時価よりも著しく低い価格で売却すると、差額分が「贈与」とみなされ、買主側に贈与税が課される可能性があるため注意が必要です。

円満な解消を目指すのであれば、不動産鑑定士等による査定を依頼し、全員が納得できる価格の客観的根拠を用意しておくことが成功の鍵となります。

共有持分の贈与

自分の共有持分を無償で他の共有者に譲り渡す方法です。相続した不動産の価値がそれほど高くなく、管理の手間や固定資産税の負担から解放されたい場合に、特定の親族へ持分をまとめる目的で行われます

売買のような対価のやり取りがないため、共有者間での合意さえあれば比較的スムーズに名義を変更できるのが特徴です。

ただし、税金面には注意が必要です。受け取った側には時価相当額を基準とした贈与税が課されることがあり、その税率は相続税や所得税よりも高くなる傾向があります。

  • 贈与税(ぞうよぜい):個人から無償で財産を受け取った際にかかる税金
  • 負担付贈与(ふたんつきぞうよ):財産を譲る代わりに、住宅ローンの返済などの義務も引き継がせる契約

例えば、夫婦間で自宅の持分を贈与する場合などは配偶者控除の特例が受けられるケースもありますが、兄弟間などでは高額な税負担が生じる可能性があります。

また、名義変更の手続き(所有権移転登記)には、贈与契約書の作成や登記費用(登録免許税)も発生します。解消後の税金支払いに困らないよう、事前に税理士等の専門家に税額シミュレーションを依頼し、受贈者側の負担能力を確認してから実行に移すべきです。

現物分割(土地の物理的分離)

土地を物理的に切り分け、それぞれが単独の所有者となる方法です。例えば、広い土地をAさんとBさんで2分割し、それぞれ別の区画として所有します。物理的に分けるため、一度分筆が完了すれば、以降はお互いの同意なしに自由に売却や建築ができるようになります。

土地であれば最も公平な解決策の一つですが、実行には高いハードルがあります。まず、土地を分けた後のそれぞれの区画が、建築基準法上の「接道義務」を満たしている必要があります。接道できない土地(再建築不可物件)が生じるような分割は、資産価値を著しく損なうため現実的ではありません。

また、土地の形状、高低差、日当たり、方位などによって価値が異なるため、単に「面積半分」にするだけでは不公平感が出ることも多く、金銭で調整を行う必要も出てきます。建物(一戸建てやマンション)の場合は物理的な分割が事実上不可能、あるいは著しく困難であるため、この方法は主に更地や広大な土地の解消において選択されます。

  • 分筆(ぶんぴつ):1つの土地を登記簿上で複数の土地に分ける手続き
  • 接道義務(せつどうぎむ):建物を建てるために、土地が道路に2メートル以上接していなければならないという法律上の制限

代償分割(価格賠償)

特定の共有者が不動産の所有権をすべて取得する代わりに、持分を失う他の共有者に対してその価値に見合った現金を支払う方法です。実務上は「価格賠償」とも呼ばれ、2023年の民法改正により裁判(共有物分割訴訟)においても正式な分割手法として明文化されました

この方法は、共有者のうち一人が「この家に住み続けたい」と強く希望しており、かつその人に他の共有者の持分を買い取るための十分な資金力がある場合に最適です。

  • 代償金(だいしょうきん):不動産を取得する代わりに、他の共有者に支払う対価としての金銭
  • 全面的価格賠償(ぜんめんてきかかくばいしょう):裁判において、一人が不動産を取得し他人が金銭を得る解決を命じる判決

不動産を売却して現金化する手間が省け、生活基盤を維持できるメリットがあります。課題となるのは「不動産をいくらと評価するか」という点です。共有者間で評価額に差があると、支払う代償金の額を巡ってトラブルになりやすいため、不動産鑑定士等による公正な査定が不可欠です。

また、一括での支払いが難しい場合は、分割払いの合意や担保の設定など、高度な契約実務が求められることもあります。

換価分割(売却代金の分配)

不動産を売却して現金に換え、その代金を持分割合に応じて分ける方法です。共有者の誰もが不動産の取得を希望せず、かつ「公平にお金で解決したい」という場合に最も納得感が得られやすい手法とされます。

換価分割には、話し合いによる「任意売却」と、裁判による「競売」の2パターンがあります。全員の同意が得られれば任意売却を選択すべきで、不動産仲介会社を通じて市場価格での売却を目指せます

一方、話し合いがまとまらず裁判になった結果、現物分割も代償分割も不可能と判断されると、裁判所は「競売(形式的競売)」を命じます。

  • 任意売却(にんいばいきゃく):共有者全員の合意に基づき、通常の不動産市場で売却すること
  • 形式的競売(けいしきてきけいばい):共有物分割請求訴訟の判決に基づき、裁判所が強制的に競売にかけること

競売になると、売却価格は市場価格の6割〜8割程度まで下落することが一般的であり、諸費用も差し引かれるため、各共有者が手にする金額は大幅に減ってしまいます。

したがって、換価分割を目指すのであれば、競売に至る前に専門家を介して任意売却の合意形成を最大限試みるのがプロの定石です。

共有持分の放棄

自分の共有持分を「いらない」として手放す意思表示をすることです。民法第255条により、共有者の一人がその持分を放棄した場合、その持分は他の共有者に持分割合に応じて帰属(分配)されます。

放棄は一方的な意思表示で成立するため、売買や贈与のように相手方の「買います」「受け取ります」という承諾を待たずに権利を手放せるのが特徴です。

ただし、不動産登記(名義変更)の手続きにおいては、他の共有者との「共同申請」が原則となるため、実際には他の共有者の協力が必要です。

また、持分を譲り受けた形になる他の共有者には「贈与税」が課されるリスクがあります。さらに、他の共有者が全員放棄した場合や、相続人が一人もいない状態で放棄された場合は、最終的に国庫に帰属することになります

  • 単独行為(たんどくこうい):相手方の同意を必要とせず、本人の意思表示のみで成立する法律行為
  • 帰属(きぞう):権利が特定の人や国などに移り、自分のものになること

実務上は、固定資産税や管理責任を逃れたい一心で行われることが多いですが、登記手続きの協力が得られないと名義が残ったままになり、法的義務から解放されない恐れもあるため、弁護士等を介して進めるのが安全です。

所在等不明共有者の持分取得制度

2023年4月の民法改正で新設された、行方不明の共有者がいる場合の解消方法です。これまでは共有者が一人でも不明だと不動産全体の処分が完全にストップしていましたが、この制度を使えば裁判所の許可を得て、不明者の持分を自分が買い取って単独名義にすることができます。

手続きには、住民票の調査や親族への聞き込みなど、行方不明であることを証明する徹底した調査報告が求められます。裁判所の決定が出ると、不明者の持分の「時価相当額」をあらかじめ法務局に供託(預け入れ)する必要があります。

  • 所在等不明共有者(しょざいとうふめいきょうゆうしゃ):必要な調査を尽くしても氏名や居場所が判明しない共有者のこと
  • 供託(きょうたく):不明者の持分代金を法務局などの公的機関に預け、支払い義務を果たす手続き

このお金は不明者が現れた際に支払われるための担保です。注意点として、共有状態が「相続(遺産分割未了)」によって生じている場合は、相続開始から10年が経過していることが要件となります。相続発生から10年未満の場合は、この制度ではなく従来の「不在者財産管理人」の選任などを検討しなければなりません。

所在等不明共有者の持分譲渡制度

同じく2023年改正法で誕生した、行方不明者がいる状態で「不動産全体を第三者に一括売却」するための制度です。前の「持分取得制度」が自分が買い取るためのものだったのに対し、こちらは不動産を売って現金化したい場合に適しています。

裁判所から「譲渡権限」を付与されることで、不明者の持分も含めて特定の第三者に売買することができます。こちらも不明者の持分に応じた対価を事前に供託する必要があります。利用の条件として、不明者以外の「共有者全員」がその不動産を売却することに同意していなければなりません。

つまり、「不明者1名のせいで売却できない」というデッドロックを解消するための手続きです。持分取得制度と同様に、相続による共有の場合は原則として相続開始から10年経過が必要です。

これにより、長年放置されてきた「所有者不明土地」であっても、法的な手続きを踏むことで再び市場に流通させ、共有状態を根本から解消することが可能となりました。

  • 譲渡権限の付与(じょうとけんげんのふよ):裁判所から、他人の持分を代わりに売却する法的パワーを与えられること
  • 停止条件(ていしじょうけん):特定の事象(この場合は他の共有者全員の売却同意)が起こるまで効力が発生しない条件

10通りの解消方法をご紹介しましたが、状況によって最適な選択は異なります。 いきなり業者へ相談するのは気が引けるという方は、まずは無料の共有持分診断で現状を整理してみませんか?専門チームがあなたの状況を詳しく伺い、提携業者による解決案や概算価格を中立的な立場からアドバイスいたします。

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編集者

不動産共有持分買取センターのコンテンツ編集部。離婚や遺産相続によって発覚することの多い共有持分状態の不動産を、どう扱えばよいかを詳細に解説。

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